電子

電子技術・電子回路

1100 物質には電気を通しやすい物質と通しにくい物質とがある

 物質はその電気的性質から、導体・半導体・絶縁体に分けられる。

・導体(conductor):銀・銅などの金属は抵抗率が小さく電気をよく通す物質

・絶縁体(insulator):ガラス・ゴムなどのように抵抗率が大きく、電気を通しにくい物質

・半導体(semiconductor):抵抗率が導体と絶縁体の中間の物質

半導体とは・・・中途半端なだけ??・・・


1101 半導体とは

 電気の通しやすさで言えば、導体と絶縁体の中間・・・使い道は無さそうですが・・・

ある操作やエネルギーを加えることにより、電気的な特性に大きな特徴が生じる。

 代表的な物質としては、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)がある。

・・・まず、特徴を見てみると・・・


1102 半導体の性質

 ・温度が高くなると抵抗率が減少する(負の温度係数)

 ・不純物の注入により導電率が大きく変化する

 ・電気伝導は「電子」・「正孔」で行われる

・・・分からない用語が・・・そこで、「物質とは何か」から考えてみると


1103 物質

 すべての物質は原子から成る。

 原子は、電気的にプラスの性質を有する原子核と同等でマイナスの電気的エネルギーを有する電子で構成される(→図)。

1104 半導体を大きく分類すると・・・

 ・真性半導体:極めて純度の高い半導体。単一原子が価電子(最外殻電子)を共有することで単一結晶を構成している。このような半導体(シリコン、ゲルマニウム)を真性半導体という。正孔と自由電子が同じ数だけ存在する。

 ・不純物半導体:真性半導体に極めて純度の高い不純物を加えたもの。

1105 n形半導体

 真性半導体に価電子が5個の元素(ヒ素As、リンP、アンチモンSb)を不純物として供与することで得られる。供与する不純物をドナー(donor)という。

donor:供与体

1106 p形半導体

 真性半導に価電子が3個の元素(ホウ素B、ガリウムGa、インジウムIn)を不純物として注入することで得られる。注入する不純物をアクセプタ(acceptor)という。

accept:受け入れる

1107 多数キャリア・少数キャリア

 ・n形半導体の多数キャリアは自由電子。少数キャリアは正孔。

 ・p形半導体の多数キャリアは正孔。少数キャリアは自由電子。


1108 半導体を流れる電流

 ① 電界の向きに正孔・自由電子が移動する。これをドリフト電流という。

 ② キャリアの濃度差による、濃度の濃いとことから低い所へと拡散現象が起こる。これを拡散電流という。


1109 共有結合

 SiやGeの原子は互いに価電子を共有しあうように規則正しく並ぶ、共有結合になっている。


1110 自由電子

 原子核周辺の電子は原子核と強く結びついている。しかし、価電子(最外殻電子)は外部からのエネルギーによって、原子核との結びつきから容易に離脱し、原子間を自由に移動できるようになる。これを自由電子という。


1111 正孔(ホール)

 共有結合の価電子が抜けることによって、正の電荷がその場に留まることになる。これを正孔(ホール)という。

 正孔は自由電子を引き寄せる。引き寄せられた正孔の元の場所には新たに別の正孔が生じる。


1112 キャリア(carrier)

 自由電子と正孔の移動はそれぞれマイナスの電荷とプラスの電荷の運び手となっている。これをキャリアという


1113 キャリアの発生

 光の照射、熱、磁界などのエネルギーを加えることによってキャリアが発生する。


1114 pn接合

 4価のシリコン結晶にアクセプタとして3価のホウ素を、ドナーとして5価のヒ素を注入することで、結晶の一部にp型の領域とn形の領域とを作ることができる。

 p形とn形の領域が接する構造をpn接合という。


1115 空乏層

 pn接合面は


1200 ダイオード

 ダイオードとは : 電流を一方向にのみ流す性質の電子素子


1201 構造と図記号

1202 ダイオードの動作

(1)順方向電圧を印加した場合

(2)逆方法電圧を印加した場合

1203 ダイオードの特性

・順方向

  シリコンでは0.6Vを超えると電流が流れ始める

・逆方向

  ほとんど電流は流れない

   ・電圧を高くしていくと、ある値で、急激に流れ始める→降伏現象

   ・この時の電圧を、降伏電圧(breakdown voltage)という


1300 トランジスタ

 トランジスタとは何か? 構造や働き、特性、種類、定格について考える

 トランジスタとは : 半導体のキャリアの移動を利用して出力側の電流をコントロールする電流制御形の電子素子である。


1301 トランジスタの構造・図記号


1303 トランジスタの動作

(1)電源電圧VCEだけを加えた場合

 空乏層が広がり、電流の流れは無い

 (2)電源電圧VCEとVBEを加えた場合

 ・エミッターベース間の空乏層は消滅

 ・エミッタ中の電子はベースを経由してコレクタ側に移動→コレクタ電流

1304 スイッチング作用

・OFF状態:ベース電流(入力)が流れていないとき、コレクタ電流(出力)は流れない。

・ON状態:ベース電流(入力)を適切に流すと、コレクタ電流(出力)は流れる。


1305 直流電流増幅率 hFE

・ベース電流(IB)を微調整することで、コレクタ電流(IC)をコントロールすることができる。

    hFE = IC/IB


1400 電界効果トランジスタFET

 FETとは何か? 構造や働き、特性、種類、定格について考える。

トランジスタが電流制御の電子素子であったのに対し、入力側の電圧によって出力電流をコントロールする電圧制御の電子素子


1401 接合形FET

(1)構造と図記号

(2)動作